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あのイーハトーヴォのすきとおった風、夏でも底に冷たさをもつ青いそら、うつくしい森で飾られたモリーオ市、郊外のぎらぎらひかる草の波。
Mobbed Hong Kong
秩序が無秩序に増殖する。アパートメントという城壁に、無数の窓が密集する。群れを成すミニバスの車窓は、いつも老若男女の横顔で埋まっていた。そのひとつひとつに個の生活があることを、想像するだけで息苦しくなる。無秩序な生活が、空高く聳えていく。それを見上げる自分は、諦念する老人だ。自分達がもはや衰退の民であることを、シャッターボタンを押しながら心に刻んだ。 - 日本カメラ2016年9月号
CRAFTSMANSHIP
職人は孤高だ。無口で気難しく、頑なである。なぜか?
それは誰も見たことのないもの、誰も真似できないものを作るという、暗く深い森を歩んでいるからだ。
ゼロから生み出す苦しみ、終わりの見えない研鑽、恍惚と不安の交錯。それらすべてを独りで背負い、すべての評価を我が身で受け止める。
その姿は吹きすさぶ荒野を行く人のようだ。
カメラケース、レザーストラップ、ソフトレリーズ、マウントアダプターなど、カメラアクセサリー職人の姿をオールドレンズで捉えた。
オールドレンズの抒情的な写りが、彼らが背負うものまでも浮き彫りする。― 2015年 Acru Gallery
SCENE UNKNOWN
赤外線写真は、もうひとつの世界をあぶり出す装置だ。
人の眼は赤外線を知覚しない。赤外線だけで照らされた世界は、我々にとって未知の光景である。
しかし、自然光は常に赤外線を含んでいるため、けっして非現実の世界ではない。
赤外の世界とはいわば、「認識を超えて存在する世界」と言えるだろう。-2011年 70 Mantas
BLACK MORNING
本作品群は、“ 開戦前夜” のフィクショナルイメージです。
ある日を境に戦争というフラグが立つのではなく、霧が音もなく密度を増すように、時代が不穏の粒子で満ちていく。
そうした有り様を、デジタル赤外線撮影という装置で描きました。-2009年 Gallery FOTOS
ライター業の傍ら、2008年より写真家活動を開始しました。
デジタル赤外線写真、オールドレンズ撮影など、
マニアックな手法で作品づくりを行っています。
本ページでは過去の個展のダイジェストをご覧いただけます。